毎月の例会で、会員の有志がこけしを展示して、そのこけしにまつわる話を聞かせてくれます。



−平成16年4月− 佐藤春二のこけし
(百足 正文)
写真@ 写真A
 春二は明治36年幸太の五男として生まれる。兄弟に今三郎、慶治、味蔵の兄がいる。特に兄味蔵に指導を受けた。昭和57年に物故工人になってしまう。晩年は春二から受けた師恩に報いるため直弟子の井上夫妻に献身的な愛情を受けながら良き人生を過ごした。又、春二は熱塩温泉に土産店を開きこけし等の木地製品を販売した。

西田峯吉氏の私見によると現代の弥治郎系こけしは達観的に言って三つの極をもっている。その極となるのは左内・文市・春二の三工人です。従って春二は弥治郎系に於ける三極のうちの一極の頂点に位置すると言っています。又、春二は自分のこけしに関しては独自の哲学もっており中途半端な意見や復元の依頼は受けなかった。昭和33年村会議員を辞め35年より茂吉と幸太型を復元した。

写真@左から小寸の2本は昭和16年の作品で保存状態が良くないが春二の特徴が表現されている。3本目は29年の作品で瞳が大きく豊かな雰囲気がある。残りは41年の作品で表情が鋭く美しい。写真A左2本共35年に復元された幸太型で均斉のとれたフォルム、面相は細勁な筆致で強い表情で描かれている。3本目は茂吉型で胴模様の色彩感覚の良さはそれまでの春二の概念を打破する秀作です。4本目は井上四郎の茂吉型で、味を充分に特色を出して師匠の教えを忠実に守り、信頼に応えています。

 私は良いこけしに囲まれて幸せに思う。